トレードをやっていると確率というものに敏感になります。
AかBかなどのどちらかを選択する必要がある場合は、
なにを根拠に決定するかです。
これを適当に選んでいては、トレーダーとしての資質に欠けることはいうまでもありません。
そこで今回は、ご存知の方も多いかもしれませんが、
モンティ・ホール問題
について記事を書きます。
名前の由来
アメリカのテレビゲーム番組「Let’s Make a Deal」があり、この番組の司会者モンティ・ホールにちなんで名付けられています。
モンティ・ホール問題
- 3つのドアがあります。1つのドアの後ろには車が、残りの2つのドアの後ろにはヤギが隠れています。
- あなたは1つのドアを選びます(たとえば、ドアA)。
- モンティ(司会者)はあなたが選んでいないドアの中から、ヤギが隠れているドアを1つ開けます(たとえば、ドアB)。
- モンティはあなたに提案をします:「ドアAの選択を維持しますか?それともドアCに変更しますか?」
- あなたは選んだドアを維持するか、もしくは変更するかを決めることができます。
問題は、車を獲得するための最適な戦略は、元のドアの選択を維持することなのか、それとも変更することなのか、ということです。
解説の前に答え
答えは、
「変更する」
が最適解となります。
普通ではあれば
「変更する」が最適な選択というのはおかしいと思いますが、
これを言い出したのは、IQ200を超える頭脳を持つ
マリリン・ボス・サバントさんです。
これには、
約1万通の投書が殺到し、本問題は大議論に発展しました。
またこの投書には、1000人近い博士号保持者からのものも含まれており、
その大部分は「ドアを変えても確率は五分五分(2分の1)であり、3分の2にはならない」とするものです。
具体的には、
ジョージ・メイソン大学 ロバート・サッチス博士
「プロの数学者として、一般大衆の数学的知識の低さを憂慮する。自らの間違いを認める事で現状が改善されます」
や、
フロリダ大学 スコット・スミス博士
「君は明らかなヘマをした(中略)世界最高の知能指数保有者である貴女が自ら数学的無知をこれ以上世間に広める愚行を直ちに止め、恥を知るように!」
などがサバントさんに対して発言をしております。
ただ先にオチをいうとこんな頭の良さそうな方々が
のちに自分の誤りを認め、
サバントさんに軍配が上がるということになります。
サバントさんはこの一連の流れについて、下記のようなコメントを残されています。
「現実が直観と反する時、人々は動揺する」
簡単解説
- 最初にドアを選ぶ確率:
- 車が選ばれる確率:1/3
- ヤギが選ばれる確率:2/3
- もし最初に車を選んだ場合(1/3の確率)、ドアを変更するとヤギを選ぶことになります。
- もし最初にヤギを選んだ場合(2/3の確率)、モンティがもう一方のヤギのドアを開けるので、ドアを変更すると車を選ぶことになります。
これを考慮すると、
- ドアを変更した場合、車を選ぶ確率は2/3
- ドアの選択を維持した場合、車を選ぶ確率は1/3
したがって、車を獲得する最適な戦略は、ドアの選択を変更することです。
学ぶべきところ
前提条件が大事というところです。
これはモンティさんは当たりの扉を知っていて教えてくれたということです。
もしこれを知らない場合は確率が1/2になります。
※追記:外れの扉の場所を教えてくれるというのも大事です。
このように
前提条件
を十分に理解してなければ、確率の計算は間違ってきます。
私はモンティさんの
「現実が直観と反する時、人々は動揺する」
という言葉が好きです。
「現実が直観と反する時、人々は動揺する」
という文は私が思うに、
人々の期待や先入観が現実の出来事や状況と一致しないとき、驚きや混乱を感じることを指していると考えられます。
以下、いくつかのポイントを出していきます。
- 直観の重要性:人々は日常生活で直観を頼りにして行動します。
これは先天的な感覚や過去の経験に基づくもので、何かがどのように進行するかの期待を持っています。
例えば、落としたものは下に落ちる、火は熱い、氷は冷たいなど、我々の直観は日常の体験に基づいて形成されます。 - 現実とのずれ:しかし、常に我々の直観や期待が正しいわけではありません。
特に複雑な状況や新しい環境で、現実が直観と一致しないことがよくあります。
例として、ストローや棒を半分水に入れると、その部分が曲がって見えることがあります。でも、実際には曲がっていません。
これは光の屈折です。
直観的には物が曲がっているように見えますが、現実では曲がっていないのです。 - 人々の反応:直観と現実が一致しないと、驚き、混乱、不信感などの感情を抱きやすくなります。これは、我々が理解し、予測し、コントロールしようとする世界の基本的なフレームワークが揺らぎ、不確実性や不安を感じるからです。
天動説と地動説の話にも通じます。
人が地動説の話を信じるまで100年近くかかっているので興味深い話だと思います。 - 学習と適応:しかし、このような経験は新しい知識や洞察を得る機会でもあります。
動揺は変化や学習のトリガーとなることが多く、直観や考え方を見直すきっかけとなることがあります。
以上のことから、
変化や未知のものへの適応、そして学習の重要性を暗示しているかもしれません。
直観が常に正しいわけではないため、現実を受け入れ、それに適応し、学ぶことが大切です。